白夜の空

まんがタイムきらら作品の感想とか。

きらら作品「3巻乙」作品の終わり方について

死ぬほど久しぶりですが生きてました。

まんがタイムきらら Advent Calendar2021

adventar.org

というステキ企画に参加したので久しぶりにきらら作品について語ってみます。

 

個々作品について掘り下げて語るのもいいのですが、今回はなにかテーマを決めてみようと好きな作品の共通点を見出してみた結果の3巻乙作品、その「終わり方」にフォーカスして感想を書いてみようと思った次第です。

終わりについて語る以上、各作品についてのネタバレ要素を含みますのでご注意ください。

 

  • 3巻乙作品とは?
  • 終わり方とは?
  • 作品紹介
  • 『オリーブ!Believe,"Olive"?』
  • 『はんどすたんど!』有馬
  • 『どうして私が美術科に!?』相崎うたう
  • 『がんくつ荘の不夜城さん』鴻巣
  • まとめ

 

・3巻乙作品とは?

そもそもきらら界隈スラングとして「2巻乙」(2巻で完結すること。きらら作品の大半がこうなる)というのがあったのですが、『がんくつ荘の不夜城さん』(この作品も3巻乙ですね)2巻の帯で大々的に「2巻乙回避!」と書かれてしまったことで公式化?した表現ですね。

実際2巻乙を回避する作品はそれなり以上の人気作であり、連載期間もおよそ2年以上になる安定した作品ということもありそろそろメディアミックスも見えてくる時期ですけど、そこからアニメ化→長期連載とならず完結する作品は終わること自体がわりと驚きをもって迎えられがちな気がします。

 

・終わり方とは?

そもそもの話、私がわりと作品は完結してこそ正当に評価できるという思想とダラダラと長く続く作品ってダサいよねという思想の持ち主なので、3巻3年程度でしっかり完結する作品を好きになりやすいという前提。

きらら作品って基本的には2巻なり3巻なりの単行本にぴったり合うように13話の倍数で最終回となるんですが、最終巻になるかもう1巻出るかどうかの判断がけっこうギリギリにならないと作者さんに伝えられないらしいですね。そのせいでとくにストーリーのある作品だと「巻き」でまとめる必要性が出てきて「最終回前話で急にシリアスっぽかったりエモい引き→最終回で回収」という典型的エンドパターンになりやすいです。

その点3巻終了の作品たちは、2巻完結作品と比べると余裕を持った終わり方ができているのではないか?と思った次第です。実際に読み返したら別にそうでもなかったですけど。

 

・『オリーブ!Believe,"Olive"?』

本物の魔法使いたちが在籍する手品部に入部してしまったスズちゃんと先輩たちの魔法ストーリー。

好きなキャラはツバサちゃんです。SHOW #22のエピソード大好き。

f:id:neoneo18h:20211221000016p:plain2巻P5より

 

どうでもいいけどWikipediaのこの文じわじわくるな…

ja.wikipedia.org魔法世界「カグヤノクニ」とつながる架空の熱海市を舞台にした[注 1]、魔法が取り巻く女子高生たちの「不思議でおかしな、幸せいっぱいな」[1]日常を描く。

架空の熱海市って間違ってはないんだけどそうはっきり言われてしまうとウケる。

さて、冒頭にこの作品をもってきたのは、再三言ってますけどこの作品がたいそう贅沢な尺の使い方をしているからですね。上述したよくあるシリアス展開(これも結構長々と伏線張ってるなかなか読み応えのある展開です)が2巻末にあり、その後の3巻は丸々アフターストーリー的な日常話に回帰するんですよね。きらら読者なら最終回だけとか2巻の描き下ろしだけとかしか読めないアフターストーリーが丸々1巻分読めるという特異さは理解できるはず…25話のこの扉絵とか完全に最終回じゃないですか。ここから更に1巻分読める喜び…!f:id:neoneo18h:20211221000021p:plain

2巻P97より

もちろん終わり方以外にも各キャラクターの複雑な関係性や細かく練り込まれているのにうるさくない世界設定など魅力的な部分のとても多い作品なので是非読んでください。

 

 

・『はんどすたんど!』有馬

各地きらら展でのきらファン漫画でもおなじみ有馬先生の作品。ランプ(有馬Ver.)実装まだですか?

北海道のとある高校の入学式の日に道端で逆立ちをしているゆかに出会ったななみは体操部に入ることになり、同じく新入生のいちご、ひなたと共に体操部として活動したりしなかったりというギャグ要素強めの作品。

好きなキャラはゆかちーです。

f:id:neoneo18h:20211221000049p:plain 2巻P50より

この作品の独自性として部活モノとしてかなり真面目に体操はしているのに全体的にトンチキな空気にしかなってないところですね…。おおむねななみの意図的なボケから始まるんですが、ゆか&ひなたの一見まともそうコンビの常識外れムーブから話が始まるパターンも非常に多くて油断ならない。いちごガールのツッコミも度々ヘンだし…。

最終回は部活モノとしては定番の1年後の入学式パターンですね。集合写真ネタの天丼がちょっとエモさを醸し出している…のかなあ。よくわかりませんでした。

 

・『どうして私が美術科に!?』相崎うたう

『瑠東さんには敵いません!』絶賛連載中の相崎うたう先生の前作。私を含め「どうびじゅに魂を囚われた人間」を多数生産した罪深い作品。

間違って美術科に入ってしまった桃音が居残り組の溜まり場「美術X室」で仲間と繰り広げる美術4コマです。

好きなキャラは紫苑さんです。アイコンだしね。

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1巻P75より

この作品の終わり方としては、3巻中盤から登場する鈴木朱花というやべーやつもといキャラの登場が大きなきっかけになります。桃音と同じ中学から同じ高校の普通科に進学した彼女とのやり取りを通じて、桃音が『どうして私が美術科に』いるのかを再認識し、黄奈子のキャラ崩壊が加速します。黄奈子、蒼、紫苑、翠玉それぞれの内面に深く切り込んだエピソードを描いた上で桃音の出した答えについてじっくりと描けていたのは、3巻分という尺を有効に使えていたのではないでしょうか。

 

・『がんくつ荘の不夜城さん』鴻巣

きららファンタジアのコミカライズを絶賛連載中の鴻巣先生の過去作。

引き篭もり漫画家不夜城よどみの不健康で不健全な生活を描く漫画家漫画。多くの部分で作者である鴻巣せんせいの自伝的ネタも含まれているらしいです。どこまで事実なんですかね……。

好きなキャラは羊ケ丘めざめさんです。

f:id:neoneo18h:20211221000347p:plain3巻扉絵より

 

 

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1巻P7、3巻P106より

最終話が1話と対になって終わる作品っていいですよね…

最終話前話にて読者が見ていた日常が『がんくつ荘の不夜城さん』という作中作であることが発覚するという構成、最終話はまるごと後日談で締めるのは未来への展望を示している感じで真面目にベスト最終回だと思います。

 

まとめ

そんな感じで単に好きな作品の終わり方について語るだけみたいになってしまいましたが、少しでも楽しんでいただければ幸いであります。

今年はきんいろモザイクがっこうぐらし!NEW GAME!ステラのまほうと長寿作品の最終回がありましたが、どれも素晴らしい終わりを見せてくれました。現在連載中の数多の作品たちも、それぞれよい最終回を迎えられるとよいですね。